描いて作って耕して

農業・陶磁器の魅力をみなさんに伝えていきます。

自分が有田焼を買うならどんな時ですか? と質問されました。

タイトルの通りです。

有田焼に携わる人からこんな質問をされました。

一応私も同じく有田焼に携わる者。若輩者ながら私なりの答えを用意しました。

 

私が有田焼を買おうと検討するときは、友人や親戚への贈答用です。

自分のためにはほぼ買いません。だって高いんだもの。

もちろん、コスパのいい商品だってありますし、自分の日常を豊かにするために有田焼を買う人はたくさん知ってますよ!でも自分は違います。

 

そのため表題の質問は、「友人等へのプレゼントにしたいものが有田焼にあるか?」という質問に言い換えることができる のですが、残念ながら友人へ送りたい商品があまり見当たりません。

そんなことない!有田焼にはプレゼント用の商品だっていいものたくさんある!とおっしゃる方もいると思いますが、ためしにグーグルで「有田焼 プレゼント 結婚」と検索してみてもパッとするものがありません。


実際、私の友人が結婚した時に贈答用として有田焼の商品を見繕ったのですが、いいのが見つからず断念したことがあります。
やはり贈答用なので、その良さを友人に伝え満足して使ってもらいたいと思うのですが、友人に有田焼の良さを伝えようとしてもなかなかうまく伝えることができません。

 

自分が贈答用としてプレゼントを選ぶなら、
①商品の品質が保証されている
②有田焼として文化的に価値ある商品である 

③見た目が美しい

④保持していることでステイタスのある商品である

⑤贈り物として相応しいメッセージが込められている

⑥使用してもらう場面が具体的にイメージできる

 

くらいの条件が欲しいところ。

↓有田焼の価値に関する考察はこちら。 

handpaint.hatenablog.com

 


webで、もしくは足で、いろいろ探しても上の条件をきちんと満たす商品を提案している窯元は数が少ないです。

文化、歴史、受賞歴などを前面に押し出すものはたくさんお目にかかります。

しかしそれだけでは有田焼の良さを友人に伝えられそうにないのです。
私くらいの世代(30歳前後)になると有田焼の名前は知っていても商品を手に取ってみる人は少なく、ましてやそれぞれの窯元の特徴や歴史を知っている人なんてほとんどいません。

有田焼のどこそこの窯元の品を持っているというステイタス的な価値は伝わりにくいです。 
また、②文化的価値を良さの一つとして挙げげましたが、それを体現している窯元の様式も購入をためらう原因の一つです。
「らしさ」が一目でわかるデザインなのはいいのですが、器はそれ単体で使うものではなく他の食器類やインテリアと組み合わせて初めてその価値が生まれるのです。しかし、私の世代は無地やシンプルなデザインのものが多く、多くの有田焼商品とは外観がマッチングしにくいです。その点では波佐見焼のモダンなデザインにはかないません。
その意味でも、私は友人への贈答として有田焼を買うのをためらっています。
逆に高齢のお客様の家庭にはマッチしやすいデザインでもあると感じているのでそこは一長一短なのかもしれません。

もちろんこれは全体的な私の印象の話ですし、有田焼の中にもデザインがモダンで現代の若者の生活様式とマッチするデザインがたくさんあるのは知っています。作家さんで良いものを作っている方も大勢います。

でも、まだまだ顧客志向を意識してるところは少ないです。

さっきのグーグル検索の結果がそれを如実に物語っています。

 

窯元さんも作り手のプライドがあるでしょう。そのバランスは永遠のテーマなのかもしれません。

続きはまた次回書きます。