波佐見焼の面白さについて。特徴がないのが特徴!とは?
前回、波佐見焼を通して有田焼を見つめなおすというアプローチをとってみましたが、ちょっと波佐見焼の面白さについて書き直してみようと思います。
上の記事で、波佐見焼は地域ブランドに力を入れていると書きましたが、この地域ブランドという考え方、今までの焼き物のブランドイメージと何が違うのか?
例えば有田焼といえば、豪華で繊細な装飾、美しい様式や青磁辰砂などの技法を強みとしており、事実公式非公式を問わずそこに顧客への訴求力があるものとされてきました。
その一方で波佐見焼は何もないのが特徴、という謳い文句があるように窯元によって作る作品やデザインは様々です。
もちろん、呉須による絵付や白磁を主に使う(最近は転写紙も使う)などの共通している部分はあるものの作風や、場合によっては陳列されている商品の中ですら一貫したイメージが見受けられない場合がもあります。
しかしそれでいて波佐見焼っぽさ はある。その一連の文脈を作っているのが地域ブランドということだと思うのです。
これはある意味発想の転換というか、様式等にこだわらず自由な型を選ぶことであえて個性を演出した面白い事例と言えます。
一方、有田焼には窯元は多くあれどその多くは各窯元が持つ歴史や技法に焦点を当てセールスポイントとしているような節があります。
様式も歴史が古い窯元ほど似たような様式の作品が多く、その様式の収斂こそが有田焼らしさといえるものだと思うのです。
いわば有田は個で、波佐見は地域で顧客訴求している所こそが大きな違いなのでしょう。
これは、有田焼と波佐見焼どちらが良いという話ではありません。それぞれに今までの歴史があり、それぞれ適切な戦略を採用しているのだと思います。
ただ、これから地域創生の流れの中、益々地域力や地域ブランドに注目は集まるでしょうからそれに有田焼がどう対応するのかは非常に興味があるところです。
次回、有田焼のマーケティングってどうなってるの?その③でもう少し掘り下げてみようと思います。