伝統工芸品ってなんでいいんだろう? 続き
前回の記事の続きです。
読んでない方は下のリンクから読むことをお勧めします。
前回伝統工芸品の価値について話しましたが、実際問題として価値を創造するだけで経営が成り立つほど話は簡単ではありません。
よくある話ですが、いいものを作っていたが単価が高くなり商品が売れない⇒伝統工芸品がつくれない⇒衰退 といったパターンは数限りなくあります。
伝統工芸品はその性質上費用対効果が低い、デザインが現代に即していない、などなどの理由から売れ行きが伸び悩むことになるのですが(全てがそうではありません。現代風にアレンジして着実に売れ行きを伸ばしている伝統工芸品もたくさんあります。)ではどうすればいいのでしょうか?
素人なりに有田焼をモデルにして少し考えてみることにしました。
【価値創造からのアプローチ】
前回、価値のレベルとして
①象徴的価値 ⇒精神的、宗教的
②文化的価値 ⇒特定文化内での重要性
③社会的価値 ⇒ステイタス
④感覚的価値 ⇒審美性、形や色の嗜好性
⑤経済的価値 ⇒価格や対費用効果
⑥属性的価値 ⇒有用性、利便性、耐久性
という6段階の価値を紹介しました。
有田焼の売上を伸ばす対策、ここでは簡単に2つの活動規模に整理して考えてみたいと思います。
規模その① 有田焼に係るもの全体
この規模で取り組める価値は次のものと思われます。
②文化的価値⇒有田焼の歴史、文化や考え方を対外的に情報発信したりイベントを開催するなどしてアピールをする。
③社会的価値⇒有田焼を普段使いしたり、おもてなしの器として使用することを豊かな家庭の象徴としてイメージ戦略を図る。もちろん、ここでの豊かさとは経済的のみならず内面的豊かさを意味するものでなければならない。
規模その② 有田焼の各窯元
この規模で取り組める価値は次のものと思われます。
①象徴的価値⇒窯元の作品に込めたメッセージ、職人スピリットなどを消費者へ情報発信する。
④感覚的価値⇒独自の技法、釉薬の開発や現代に合ったデザインの開発。
⑤経済的価値⇒企業努力によるコスト削減はもちろん、なぜその値段なのか、を消費者が納得できるように伝え続けること。
⑥属性的価値⇒消費者の多様なニーズを常に把握しそれに応えられる絶妙な機能性、利便性を有する商品の開発。
ざっと考えただけなので見落としはたくさんあります。ご容赦ください。
それに、有田焼でも各企業がコラボして機能性の高い商品の開発をしたりした事例もあります。匠の蔵シリーズが最も有名ですね。
私が言いたかったことは物事は分析・整理して考えましょう、できればそれを言語にしてみんなに伝えましょうということです。
ここまで価値観が多様化した世の中、客観的に考えを人に伝える能力はますます必要になってきます。
有田焼が売れない!⇒じゃあ現代の人たちに受けがいい、かっこいいデザインをつくりましょう。なんて単純な話にするのは簡単ですが、もっと細かく分析すればそれは価値の構成要素の一部に過ぎないことはすぐわかるはずです。
偉そうなことを書きましたが私もまだまだ勉強不足。これからも精進します。