描いて作って耕して

農業・陶磁器の魅力をみなさんに伝えていきます。

有田焼のマーケティングってどうなってるの? その②

前回の内容の続き。 

handpaint.hatenablog.com

 

前回波佐見焼について触れました。

いきなりですが、波佐見焼の面白いところは地名(ローカルブランド)で情報発信をしているところです。

ふつうの窯元なら「うちが、うちが」と個別にアピールをしていくところを地域のブランドとしてまとまっているところに面白さがあります。

前回の記事で有田焼の匠の蔵シリーズ(有田焼の窯元コラボ)について触れましたが、それとは意味合いは全く異なります。

 

匠の蔵⇒有田焼の技術や販売者を結び合わせてチームとして有田焼をプロデュースする。チームの中で情報、技術、利益を共有する。チームが解散したらそれで終了。

波佐見焼⇒地域のブランドとして緩く一貫したイメージを持たせ作品のデザイン等は各窯元が独自にプロデュースしていく。地域に根差す窯元はその地元イメージに捉われることになるがプロモーションがうまくいけば長期間ブランド構築をすることも可能。

 

波佐見焼の戦略はかつて宮崎県が成功をおさめた地域戦略と似ています。太陽の卵の名を冠するマンゴーや宮崎牛など、食の宝庫として築き上げたブランドイメージは宮崎県の食の競争力を高めました。

この戦略はこれからの地方創生の時代にもっと見つめられる機会が増えていくように思えます。

最近は九州を一つのマーケット域と捉えて世界に出ようとする動きも高まっているようです。

地域ブランドはとても大切な財産になる可能性を秘めています。

波佐見焼はあまりに焼き物が売れず地域が危機感を抱いたことが現状打破の原動力になりました。また、ゼロベースで地域ブランドを作れた条件もあり柔軟に世の中の動きに対応できました。

有田焼の場合はどうでしょう?

すでに名前は全国に知れ渡っていて、ある程度の地域ブランドのイメージはあるのかもしれません。しかし有田焼といっても様々な業種、作品作りの方向性が既に混在しておりそれをまとめ上げて地域ブランドイメージとしての有田焼を再構築、再提案することは相当に難しいことかもしれません。

波佐見焼を見習って…。と口にするかたも有田にはたくさんいらっしゃいます。私も有田にきたばかりのころはそう思っていました。

しかしそもそも話の土台が違うのです。有田焼は有田焼の戦略を模索しなければ、波佐見焼の後塵を拝する結果になりかねません。

 

今回は波佐見焼と比較することで有田焼の現状を浮かびあがらせてみました。次回はもう少し違った視点で有田焼を見て行こうと思います。