一般の焼き物には著作権がない件について
お皿を愛でる文化を育んできた日本ですが、
茶碗、お皿などの焼き物で一般使用のものは著作権法の保護がありません。(著作権法第2条第2項)
ただ、実用品であっても美的創造性を兼ね備えた工芸品であれば例外的な著作権法の保護があります。
これで何が問題になるのか?
要は他所さんのデザインを丸パクリしても問題にならないのです。
どんなに優れたデザインを作り上げても、それが自分たちが一生懸命考えたものでも、法的な保護が無ければ他所さんがすぐにまねします。
事実、有田焼に限らず全国の焼き物には似たようなデザインの商品がいくらでも見受けられます。
もちろん意匠法による保護は有りますが、有効期間は20年しかなく(意匠法第21条)、登録の更新もできません。根拠のある数字が示せないのですが、意匠登録までして自社のデザインを守ろうとする気力・知識・体力のある窯元がどれほどあるのか、正直なところ大手以外ほとんどいないのではないのでしょうか。
買い手のほとんどはまず視覚的な志向に合う商品を手に取りますし、その後重さや機能性、価格をチェックすると思います。器の購買において重要な要素を締めるデザインについて法的保護が薄ければそれだけ窯元の競争力も削がれますし、作陶意欲も薄れます。
著作権法で焼き物という日常使いのものを取り扱うのは、本来の趣旨からすると少しずれるのかもしれませんが、何らかの形でもっと工芸品を保護する制度が整備されてほしいものです。