ブルーベリーで収益を得たいなら考えたいこと。労働集約と資本集約
<結論>
ブルーベリー(というか農業)の経営をしたいなら、まず自分の目指すスタイルが労働集約型か資本集約型かを意識すべし
今年もブルーベリーの実がついてきました。
風が強かったせいでマルチがめくれています…。張替をしなければ。
去年は実を成らせなかった木にも今年は少しだけ実を付けさせています。
収穫が楽しみです。
さて、ブルーベリーの栽培に関する本はいろいろありますが、その経営にまで踏み込んだ本はなかなかありません。
実際にブルーベリー栽培を通して収益化を狙う方は歯がゆい思いをされている方もいると思います。私もその一人です。
一応経営に踏み込んだ本は無いこともなく、そういった本の中では、これが一番ポピュラーだと思います。
この本の画期的な点は、ブルーベリー経営を資本集約的な産業として提案しているところです。
資本集約型産業とは、経済学の専門用語で「存在している産業の中でも資本の割合が大きい産業のこと」をいいます。(Wikipediaより)
つまり、お金をかけて初期投資をたくさんする、ということです。
最初にお金がかかり、リスクが高いのがデメリットですが一度軌道に乗せてしまえば競争相手が少なく安定した収益をあげやすいのがメリットです。
労働集約型産業とは、経営収支の中で人件費の占める割合が高い産業のことです。有田焼はその典型例ですね。
初期投資が少なくなる分、属人的な要素が強くコストがかかりがちです。
既存の家族的な農業経営がこれにあたります。
少し話がそれましたが、日本のブルーベリー農家さんはほとんどが労働集約型の仕事をしています。職人的な経験と勘で仕事を進め朝から晩まで仕事をする働き方です。
私はそういう方をとても尊敬しています。情熱と根気がなければ続けられません。そういう方がいるおかげで安心して食べ物をいただけることに感謝しています。
ただ、経済活動と農業的な職人気質は分けて考えるべきです。
上に挙げた本が市場に公開されている以上、機械設備を導入して安定した収益を生み出す農業のビジネスモデルはますます広がっていくことでしょう。
これは止めようがありません。ハウステンボスも最新の設備を利用したブルーベリー栽培に取り組んでいます。お金のあるところがますますお金を増やすシステムです。
しかし農家のなり手がおらず、人口減少が続いている日本では価値ある取り組みとも思います。
要は考え方なのです。
日本はまだまだ家族経営的な農業が根強く残っていますが、海外では野菜栽培工場は積極的に進められています。
日本でもそのうちそうなります。だからといって別に初期投資をがっつりして農業を始めようというつもりはありません。
労働集約、資本集約のメリット・デメリットや市場環境を理解しより賢い農業スタイルを選択しましょう、という提案をしたいのです。
日本では汗水たらして農業をするのがかっこいいと思われがちですが、機械を利用して農業するのも私はかっこいいと思います。
ちなみに、労働集約、資本集約以外にも知識集約という仕事の仕方もあります。
興味があれば是非調べてみてください。
これからの日本の焼き物産業はますます厳しくなるかもしれない。3DCAD「ライノセラス」を見てみた感想
先日3DCADを使った焼き物作り講座に行ってきました。
仕事であまりCADを使ったこともなかったので、後学のためにと。
少々テクニカルな講座内容でしたが、いろいろと勉強になる部分も多々ありました。
【結論】
3DCADの強みはだいたい次の通り。
①手作りでは作れないorものすごく時間がかかるデザインの作品を短時間で作れることができる。
②デザイナーから細かな修正が入っても容易に修正できる。
③データをインターネットでやり取りできるためリモートワークが可能。
④窯を持っていなくてもデータを業者に渡せば成型してくれる。
だいたいこんな感じでした。
これらのメリットから導き出される結論はコスト低減と作品クオリティの高レベルでの均一化というありきたりなものなのですが、これは言い方を変えるとますます焼き物市場はデフレが進行するということです。
また、このデジタル技術は世界中と競合することになるのでその競争の凄まじさは想像を絶するものになるでしょう。
買い手側からするととてもいい状態です。売り手、特に最先端技術についていく技術力も、資本力もない窯元にとってはもはや地獄です。
九谷焼ですら100円均一で売られている時代です。ここからさらにデフレが進行するとなると低価格路線での競争戦略はあまり賢いやり方には思えません。
有田もCADデザイン技術の普及を試みていますがその先にある生き残り戦略はもう少し明確にした方がいいように思えます。
このブログでも何度か書きましたが、このような厳しい市場環境で生き残っていくためには①地域ブランド化、②手作り商品の価値の見直し、③マーケティングの徹底
等価格以外の点で勝負することが必要不可欠です。
先日、デービット・アトキンソン氏の「日本人の勝算」を読みました。
かなり細かに日本経済を分析しており日本の課題を具体的に指摘しているのですが、その指摘があまりに的確過ぎて笑ってしまいました。
この本では具体的な今後の方針まで提案しています。氏の提案は伝統工芸産業にも当てはまる改善の方程式だと思いますので、興味のあられる方は読んでみてください。
自分にとって宝物になる焼き物を買いましょう。
自分がこの焼き物欲しい!と思うときはたいてい焼き物の価値>価格であることが多いです。
そういう作品に出合った時は、自分だけの宝物を見つけたような気分になって嬉しくなります。
価値観なんて人それぞれ。その人が良いものだと思ったものを、自分の中で勝手に気に入ればいいんです。
だから、上に書いたことなんて当たり前なんです。
価値>価格と感じた時にものを買うなんて子供でもできます。
しかし、よりいい買い物をするにはコツがあります。今回はそういったお話です。
まず自分の審美眼を身に着けること。
要は良いものを見分ける目を養うことですね。これは多くの作品を見ていればだんだんわかってきます。
自然と自分の好みの作風も分ってきて、次に行きたい窯元も決まってくるようになります。こうなると窯元巡りが楽しくなってきます。
次に、聞き上手になること。窯元からどれだけたくさんの情報を得られるか、と言ってもいいです。
ここで一つ小技を紹介します。
お店に行って、気に入った焼き物があったとします。
勇気をもって「これ、いいですね。」と店員さんに言ってみましょう。店員さんがどういった反応をするかでいい作品かどうかが分ります。
レベル1:作品の安さや「いいでしょう」、といっただけの反応・窯元の歴史など、インターネットで検索できる情報程度しか語れない⇒店員さんに商品知識がないか、たいして力を入れた商品ではないということ。
レベル2:作品がどのような層に受け入れられていて、なぜその作品が良いのか、どういったシーンで作品が使われているのか話せる⇒店員さんの話に共感がもてるなら買い
レベル3:作品がどれほど苦労して作られたか、技術上のマニアックな話や作品に込められたストーリーまで語ってくる:感動したなら買い
レベル4:お客のニーズや焼き物の嗜好をきちんと把握し、似たようなもっとお客のニーズに沿った作品まで提案してくる。場合によっては他店の作品まで紹介してくる:作品を買わなくてもいいからその店員さんや窯元の方を大切にすべし
というったところです。
これを繰り返して経験を積めば必ず自分にとっての宝物になる焼き物に巡り合えます。
作品の値段の多寡は関係ありません。自分がいいと思えればそれでいいんです。
みなさんの焼き物ライフが充実することを祈っています。
ブルーベリーの苗木は信頼できる所で買いましょう!
ブルーベリーの苗木をホームセンターで購入して栽培を始める方はとても多いです。
私も最初はホームセンターで買いました。
何せ安いです。
2年生苗が500円~800円。とても手頃です。
しかし、苗木の価格とそのクオリティは比例します。
基本的にホームセンターに出回る苗木は高付加価値を付けることができなかった低級の苗木です。枝が貧弱であったり、変な角度に枝が伸びていたり小枝ばかり伸長して無駄に込み入っている成長のポテンシャルが低い苗です。
そもそも、どうやってブルーベリーの苗木を増やしているかというと、基本的には挿木です。
ですので、親株の遺伝子を引き継いだ枝から新しい枝を成長させていくわけなのですが、いい加減な会社だと枝の品種管理ができていないことも多く、本当に販売されている品種名がそのとおりの品種なのか疑わしいところもあります。
しっかりしている苗木販売所だと、わざわざ品種の確認をアメリカに問い合わせしているところもあるようです。
逆に言えば、そこまでして品質保証ができる販売所はそれだけで会社としての強みを持っているとも言えます。
ですので、いい苗木を買いたいのであればそのような信頼のおける苗木販売所を探すことをお勧めします。
今はインターネットに情報が溢れている時代です。探せばすぐ見つかります。
いい苗木かどうかの判断基準は、シンプルですが価格です。価格がある程度高く、なおかつなぜその価格なのかきちんと説明している販売所であれば信頼性が高いと言えます。それと、長年の販売実績があるかどうかですね。
ブルーベリーの果実販売は多くの農家が行っていますが苗木の販売は取扱先がまだ少ないです。
とりようによってはビジネスチャンスかもしれませんね。
それでは。
鉢で栽培するならマルチングは必須!必ずやりましょう。
ブルーベリーの定植はもう済んだでしょうか?
以前記事にも書きましたが、ブルーベリーは鉢植えでも楽しむこともできます。
鉢植えの場合、マルチングは必ずしたほうが良いです。
マルチングとは地面の上に有機材やシートを張ることです。
ブルーベリーならバークチップでのマルチングがお勧めです。粒の細かいものを選びましょう。
これにより、様々なメリットがあります。
①ブルーベリーの根の乾燥を防ぐ。
ブルーベリーは浅根性の植物です。そのため地面からの水の蒸発量が多いとすぐに根が乾燥します。最悪の場合木が枯れてしまうのです。
マルチングをしていれば地上からの水分の蒸発を防げます。
②コガネムシの被害を防ぐ。
コガネムシはピートモスのような木質堆肥が好物でよくブルーベリーの根に卵を植え付けます。根も噛み切られるのでブルーベリーが枯れてしまいます。
バークチップを厚く敷けばコガネムシは土に入って来れません。
③バークチップのミネラル分が土に供給される
バークチップは木材の破片なので微小なミネラル分が土に供給されます。また、土壌を酸性に保つ効果もあるようです。
主なものを上げるだけでもこのようにメリットだらけです。
農家さんの中には竹チップなど他の資材を使う方もいらっしゃいます。バークチップもそれなりに根が張るので家庭菜園程度なら安価で手に入る有機資材でいいのかもしれませんね。
ちなみにコンパニオンプランツについて造詣の深い木嶋利夫氏はブルーベリーに合うコンパニオンプランツとしてミントを提案していますが、私は試したことが無いですしネットでも有効な記事を見つけたことが無いのでよく分りません。
これもマルチングの一つとして考えてもいいのでしょうか。
以上、マルチングはコガネムシの発生や土の乾燥を考えると2~3月頃には終わらせておきたいところです。
いろいろ試してご自分に合ったマルチング方法を見つけてみてくださいね。
「作家を目指すなら有田は遠回りだよ」という話
タイトルで結論を書いてしまっています。
別に愚痴を書いているわけでも有田を貶めたいわけでもありません。
作家を目指すなら唐津の個人作家に弟子入りすべきです。(どうしても磁器で作品作りしたいなら話は別ですが。)
理由は単純で有田は良くも悪くも分業制で仕事が進んでいるからです。
絵付は絵付の職人が、ろくろならろくろの職人が専門的な仕事を行っています。しかし、その仕事の延長線上に独立の道はあり得ません。待っているのはその専門分野の職人の道がほとんどです。よほど情熱と才能と運がないことには有田で作家として大成するのは難しいと感じています。
一方で唐津は個人作家が約70人おり、また作家志望の若手が修行している様子も見受けられます。
有田は産業としての焼き物を確立していますがそれゆえに分業が進み個人作家は輩出されにくく、逆に唐津は産業としては成り立っていませんが焼き物の個人作家を育てる風土ができています。
伝統工芸関連の仕事のキャリアパスを整理すると、
①独立して作家として活躍する
②職人として活躍する
という二つの道があるわけですが、有田は完全に②の道です。
ネットに情報が少ないせいか、有田に作家を志して若者がやってきて、現実を知り夢を断念する方が後を絶ちません。
このサイトを訪れる方なぞほんの少しなのでしょうが、そんなあなたに心からお願いします。作家を志すなら情報収集を必ずしてください。有田に来ても作家になれる可能性はかなり低いです。
逆に私みたいに職人として頑張りたい方なら有田、波佐見はいいかもしれませんね。年収はだいたい200万ちょっとです。それでよければ。
「そんなことない、有田にも個人作家はいる」という方もいらっしゃると思います。それは否定しません。有田にも素敵な作家さんはいらっしゃいます。
しかし、有田に関する作家めぐりの情報が少ないことが事実を物語っています。統計資料はありませんが、唐津などに比べて数はかなり少ないのが個人的な感想です。
唐津や糸島は作家さん巡りを提案する施設やパンフレットは見かけますが有田でそのような資料は見たことありません。
波佐見もごく少数です。
ちなみに糸島の作家さんも唐津で修行したという方を私は複数人知っています。それほど唐津の影響は大きいのです。
有田の窯元は作品や技法がそれぞれ違うため、一所で修行しても学べることはたかが知れています。
それよりは、「将来独立したい」という意思を表明してもなお雇ってくれる、度量の広さとスキルを併せ持つ職場を探した方が断然いいです。
自分で試行錯誤して作品作りをした方が経験値の稼ぎは大きいですし成長効率も断然違います。最初はちょっときついかもしれませんが断然そっちのほうが良いです。
今回は少しきついことを書いたかもしれません。でも有田に夢を持ってやってきて、後でお金も時間も無駄にしたと後悔する人をこれ以上見たくなく、このエントリーを書きました。
もし有田に来ることを検討されている方、質問があればコメントください。可能な限りで質問に対応します。
観光農園経営について重要な情報満載! 【農で起業する!―脱サラ農業のススメ】
ブルーベリーではなく、葡萄の観光農園で成功を収めた方の本です。
著者はかつて外資系のサラリーマンとしてバリバリ活躍されていたのですが、将来に不安を感じ宮崎県の綾町で就農。サラリーマン時代に鍛え上げた徹底した経営手法を農業に応用し成功を収めました。
ーこんな人におすすめー
①農業経営とはどういう意味を持つのかざっと知りたい
②既に農業を始めているけど、もっと仕事を効率化させたい
③経験が浅くてもプロ農家に追いつく方法を知りたい
栽培は葡萄ですが、著者の考えはどんな種類の果実でも応用できるもので私も大いに勉強させてもらいました。
明確な経営指針を定める、マニュアル化を徹底する、高い研修率を維持し仕事の効率化を進めるなど著者の徹底した農業への取り組みは脱帽せざるを得ません。
著者は後に農業経営についてさらに2冊の本を出していますが、かなり具体的に農業経営の改善手法を公開しておりそれをそのまま真似するだけでもかなりの仕事の改善が見込めることでしょう。
ご自身でとったデータをweb上でかつては公開していましたが、現在は公開していないようです。
就農を希望される方と話をすると、気持ちだけが先に走ってしまい十分な準備をされていない方が多いです。情報の収集はできるだけ就農の前に行うことをお勧めします。就農してから後悔するのはいろいろな意味でもったいないと思います。
なぜこの方が成功されたのか?そして自分に足りないものは何か?ゴールから逆算して自分に足りないものを埋めるために最適な作戦は?
そのような質問をするだけでも見落としをだいぶ防げると思います。