描いて作って耕して

農業・陶磁器の魅力をみなさんに伝えていきます。

「作家を目指すなら有田は遠回りだよ」という話

タイトルで結論を書いてしまっています。

別に愚痴を書いているわけでも有田を貶めたいわけでもありません。

作家を目指すなら唐津の個人作家に弟子入りすべきです。(どうしても磁器で作品作りしたいなら話は別ですが。)

 

理由は単純で有田は良くも悪くも分業制で仕事が進んでいるからです。

絵付は絵付の職人が、ろくろならろくろの職人が専門的な仕事を行っています。しかし、その仕事の延長線上に独立の道はあり得ません。待っているのはその専門分野の職人の道がほとんどです。よほど情熱と才能と運がないことには有田で作家として大成するのは難しいと感じています。

一方で唐津は個人作家が約70人おり、また作家志望の若手が修行している様子も見受けられます。

有田は産業としての焼き物を確立していますがそれゆえに分業が進み個人作家は輩出されにくく、逆に唐津は産業としては成り立っていませんが焼き物の個人作家を育てる風土ができています。

 

伝統工芸関連の仕事のキャリアパスを整理すると、

①独立して作家として活躍する

②職人として活躍する

という二つの道があるわけですが、有田は完全に②の道です。

ネットに情報が少ないせいか、有田に作家を志して若者がやってきて、現実を知り夢を断念する方が後を絶ちません。

このサイトを訪れる方なぞほんの少しなのでしょうが、そんなあなたに心からお願いします。作家を志すなら情報収集を必ずしてください。有田に来ても作家になれる可能性はかなり低いです。

逆に私みたいに職人として頑張りたい方なら有田、波佐見はいいかもしれませんね。年収はだいたい200万ちょっとです。それでよければ。

 

「そんなことない、有田にも個人作家はいる」という方もいらっしゃると思います。それは否定しません。有田にも素敵な作家さんはいらっしゃいます。

しかし、有田に関する作家めぐりの情報が少ないことが事実を物語っています。統計資料はありませんが、唐津などに比べて数はかなり少ないのが個人的な感想です。

唐津や糸島は作家さん巡りを提案する施設やパンフレットは見かけますが有田でそのような資料は見たことありません。

波佐見もごく少数です。

ちなみに糸島の作家さんも唐津で修行したという方を私は複数人知っています。それほど唐津の影響は大きいのです。

 

有田の窯元は作品や技法がそれぞれ違うため、一所で修行しても学べることはたかが知れています。

それよりは、「将来独立したい」という意思を表明してもなお雇ってくれる、度量の広さとスキルを併せ持つ職場を探した方が断然いいです。

自分で試行錯誤して作品作りをした方が経験値の稼ぎは大きいですし成長効率も断然違います。最初はちょっときついかもしれませんが断然そっちのほうが良いです。

 

今回は少しきついことを書いたかもしれません。でも有田に夢を持ってやってきて、後でお金も時間も無駄にしたと後悔する人をこれ以上見たくなく、このエントリーを書きました。

もし有田に来ることを検討されている方、質問があればコメントください。可能な限りで質問に対応します。