これからの日本の焼き物産業はますます厳しくなるかもしれない。3DCAD「ライノセラス」を見てみた感想
先日3DCADを使った焼き物作り講座に行ってきました。
仕事であまりCADを使ったこともなかったので、後学のためにと。
少々テクニカルな講座内容でしたが、いろいろと勉強になる部分も多々ありました。
【結論】
3DCADの強みはだいたい次の通り。
①手作りでは作れないorものすごく時間がかかるデザインの作品を短時間で作れることができる。
②デザイナーから細かな修正が入っても容易に修正できる。
③データをインターネットでやり取りできるためリモートワークが可能。
④窯を持っていなくてもデータを業者に渡せば成型してくれる。
だいたいこんな感じでした。
これらのメリットから導き出される結論はコスト低減と作品クオリティの高レベルでの均一化というありきたりなものなのですが、これは言い方を変えるとますます焼き物市場はデフレが進行するということです。
また、このデジタル技術は世界中と競合することになるのでその競争の凄まじさは想像を絶するものになるでしょう。
買い手側からするととてもいい状態です。売り手、特に最先端技術についていく技術力も、資本力もない窯元にとってはもはや地獄です。
九谷焼ですら100円均一で売られている時代です。ここからさらにデフレが進行するとなると低価格路線での競争戦略はあまり賢いやり方には思えません。
有田もCADデザイン技術の普及を試みていますがその先にある生き残り戦略はもう少し明確にした方がいいように思えます。
このブログでも何度か書きましたが、このような厳しい市場環境で生き残っていくためには①地域ブランド化、②手作り商品の価値の見直し、③マーケティングの徹底
等価格以外の点で勝負することが必要不可欠です。
先日、デービット・アトキンソン氏の「日本人の勝算」を読みました。
かなり細かに日本経済を分析しており日本の課題を具体的に指摘しているのですが、その指摘があまりに的確過ぎて笑ってしまいました。
この本では具体的な今後の方針まで提案しています。氏の提案は伝統工芸産業にも当てはまる改善の方程式だと思いますので、興味のあられる方は読んでみてください。